アスベストが使われていた時期とは?築年数から判断できるかも解説
アスベストは肺がんや悪性中皮腫など、重大な健康被害を引き起こすおそれがあるとして、現在では使用が禁止されています。しかし、高い耐火性と断熱性から、かつては様々な建築物に使われたので、築年数が古い建物にはアスベスト含有建材が使われている可能性が高いです。
そのため、所有している建物や住んでいる家にアスベストが使われていないか不安に思う人も多いでしょう。そこで本記事では、アスベストが使用されていた時期を紹介します。
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アスベストが使用されていた時期
アスベストを使った建材は、1955年ごろから使われ始めました。耐火性、断熱性、防音性が高く、かつ軽量で安価であることから、高度成長期の鉄骨造建築物に多く使われました。しかし、1970年代になると、重大な健康被害を引き起こすことが明らかとなり、1975年から段階的に使用が禁止され、2006年には全面禁止となりました。
【レベル別】アスベストが使用されていた時期
アスベストは発じん性によって3つのレベルに分けられており、レベルによって使われていた時期も異なります。ここからは、レベル別に使用時期を解説します。
レベル1:吹付け材
最も発じん性の高いレベル1は、天井や壁の耐火、防音を目的として使われた吹き付け材が該当します。綿のような形状をしており、解体時に繊維が飛び散りやすいため、除去工事には細心の注意が必要です。
吹き付け材は1955年ごろから使用され始め、1989年に全てのアスベスト含有吹き付け材が製造中止となりました。そのため、1989年までは使用されていた可能性があります。ただし、基本的にはエレベーター周り、ビルの機械室や立体駐車場の天井・壁などに使われており、一般的な住宅の建材としてはほとんど利用されていません。
レベル2:断熱材・保温材・耐火被覆板
レベル2に該当する断熱材や保温材、耐火被覆板は、レベル1よりも発じん性は低いものの、高い飛散性があるため注意が必要です。
断熱材
アスベストを含む断熱材は大きく屋根用と煙突用の2種類に分かれます。屋根用は1983年まで、煙突用は1991年まで製造されていました。
保温材
アスベストを含む保温材の歴史は古く、1920年ごろから使われてきました。製造は1987年まで続いているため、多くの建造物に使われてきたと言えるでしょう。
耐火被覆板
アスベストを含む耐火被覆板は、ケイ酸カルシウム板と石綿耐火被覆板があり、ケイ酸カルシウム板は1965年ごろから2004年に製造が中止されるまで使われてきました。一方、石綿耐火被覆板が使われていた時期は、1963年ごろから1983年です。
レベル3:その他の建材
最も発じん性の低いレベル3には、ボード類やタイル、シート類、仕上げ塗材などが挙げられます。製品数が多く、製造が中止された年にバラつきがあるものの、2004年に「労働安全衛生法施行令」が改正され、代替が困難なものを除くすべてのアスベスト製品の製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止となったことで、ほとんどの製品が作られなくなりました。
アスベストの有無は築年数で判断できる?
建造物にアスベストが使われているかどうかは、建築年数である程度判断することができます。1975年以前に建設されたものは、アスベストが規制される前なので使われている確率はかなり高いといえます。それ以降に建てられた建造物も、2006年に使用が完全禁止されるまでは、使われている可能性があるため注意が必要です。
アスベストの有無の判断は専門家に依頼しよう
アスベストは1955年ごろから、法改正によって全面的に使用が禁止されることとなった2006年まで使われてきました。そのため、2006年以前に建てられた建造物には使用されている可能性があります。しかし、築年数だけで断定することはできません。アスベストの有無を確かめたい、家やマンションの解体・リフォームを考えている場合は、専門の業者に調査を依頼しましょう。