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アスベストの事前調査をしないとどうなる?義務化の背景と罰則を解説

アスベストの事前調査のイメージ

 

アスベストは、深刻な健康被害を引き起こす恐れがあると聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。そのため、建築物を解体したり改修したりする際、建材にアスベストが含まれているか事前調査を行わなければなりません。本記事では、アスベストの事前調査が義務化された背景と、調査をしないとどうなるのかを解説します。

この記事を読むための時間:3分

アスベストの事前調査が義務化された背景

アスベストとは「せきめん」「いしわた」とも呼ばれる繊維状けい酸塩鉱物です。以前はスレート材、ブレーキライニング、ブレーキパッド、防音材、断熱材、保温材などとして広範に利用されていました。

 

しかし、繊維が極めて細く、研磨機や切断機などを使用した際に、肺がんや肺線維症(じん肺)、悪性中皮腫などの重大な健康被害を引き起こす恐れがある粉じんが飛散したり、吸入してしまったりする可能性があることが明らかとなったのです。

 

そのため、2005年に施行された「石綿障害予防規則(厚生労働省令第21号)」に基づき、建築物を解体・改修する際は、アスベストを含む建材を使用していないか事前に調査することが義務化されました。また、2006年9月1日からアスベストやその含有製品の使用が全面的に禁止となりました。

 

さらに2022年には「石綿事前調査結果報告システム」による調査報告が義務化され、2023年には「建築物石綿含有建材調査者」が調査報告を行うことが定められており、近年でも法改正されています。

アスベストの事前調査を行わないとどうなる?

アスベストの事前調査は法律によって定められています。そのため、事前調査や報告を適切に行わなかった場合、大気汚染防止法に基づいて最大30万円の罰金が科されます。また、アスベスト除去作業における措置義務を怠るなど、違法な除去作業を行った場合は、3ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるため、注意が必要です。

アスベストの事前調査が不要な事例

アスベストの事前調査は、以下4つのケースでは不要です。

 

  • 工事対象の建材全てにアスベストが含まれていない
  • アスベストの飛散リスクがない
  • 塗装や部品の取付けのみ
  • 2006年9月1日以降に着工された建築物

工事対象の建材全てにアスベストが含まれていない

木材や石、金属、ガラスにはアスベストが含まれません。工事対象の建材全てがこれらの素材でできている場合、事前調査は不要です。

アスベストの飛散リスクがない

釘抜きや釘打ち程度の作業は建材に損傷をほとんど与えず、アスベストの飛散リスクが非常に低いため、事前調査を行う必要はありません。ただし、電動工具で建材に穴をあける場合は、アスベストが飛散する可能性があるため事前調査が必須です。

塗装や部品の取付けのみ

塗装の上塗りをしたり、簡単な部品を取り付けたりする作業のみの場合、既存の材料を除去しないため、事前調査する必要はありません。

2006年9月1日以降に着工された建築物

日本では2006年9月以降、アスベスト及び関連製品の製造や使用が禁止されています。そのため、着工日がこの日付け以降と確認できた場合、事前調査は不要になります。ただし、ガスケットやグランドパッキンの着工日は、調査不要となる期間が異なるため、自治体への確認が必要です。

アスベストの事前調査はほとんどの工事で行う必要がある

建物を解体・改修する際は、一部の事例を除いてほとんどのケースでアスベストの事前調査が必要です。事前調査を怠った場合、法的な罰則が科されます。また、重大な健康被害を受けるおそれもあるため、必ず行いましょう。

 

事前調査や分析サンプルの採取は、「石綿含有建材調査者」や「アスベスト診断士」などの有資格者しか行えないので、アスベスト含有の有無を確認する際は専門の業者に依頼しましょう。

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