井戸は何種類ある?仕組みや特徴をくわしく解説
井戸水は、水道代の節約や災害による水の確保として再び注目を集めています。新たに設置を検討される家庭も増え、井戸について興味を持ち始めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。井戸には、さまざまな種類があり、それぞれ構造や設備が異なります。
この記事では、井戸の設置を検討されている方や興味がある方に向けて、井戸の種類と特徴、井戸水を利用する時の注意点についてくわしく解説します。
この記事を読むための時間:3分
井戸の種類と特徴
井戸は深さの違いで大きく2種類に分類され、さらに構造や掘削方法によって細かく分類されています。井戸の設置方法については、どの種類の井戸が地盤に合っているか、専門業者が現場をくわしく調査して決めるのが一般的です。
井戸の深さで分類
井戸は、大きく分けて以下の2種類に分類されています。
浅井戸
地下7~10メートル程度の浅い地下水を汲み上げる構造です。主に、家庭菜園やガーデニングなどの雑用水として利用されています。岩盤を掘削しないため、比較的少ない予算で設置できるのが特徴です。しかし、水質が不安定で水量も少なく、干ばつ時には水脈が枯渇する可能性があります。
深井戸
地下20~30メートルの深い帯水層の地下水から汲み上げる構造です。水温は一年を通して15~17℃を保っています。水質や水量が安定しているため、飲用や生活用水にも使用できるのが特徴です。しかし、岩盤を掘削しながら地中深く掘り下げるため、浅井戸より費用がかかります。
井戸の構造や掘削方法の違いで分類
浅井戸と深井戸も、構造や掘削方法の違いでさらに分類されます。
掘り抜き井戸
地中深く穴を掘り、底から湧き出る地下水を汲み上げる深井戸のことをいいます。穴の直径は、約60センチメートル程度で深さは6メートル前後が一般的です。自然に湧き出す地下水をロープやバケツで汲み上げて使用します。手軽に設置できる伝統的な井戸の形態で、時代劇や怪談話に登場する井戸としても知られています。
打ち込み井戸(打ち抜き井戸)
小さな穴の開いた鋼管パイプを地中に打ち込み、そのパイプから地下水を汲み上げる浅井戸のことをいいます。平均的な深さは5〜8メートル程度で、掘削工事が不要なため、狭い場所でも設置できるのが特徴です。しかし、水質や水量が不安定になりやすく、設置場所を慎重に選ぶ必要があります。
井側井戸
手掘りの穴の周りを石材やコンクリートで補強した浅井戸のことをいいます。平均的な深さは5~10メートル程度で、穴の直径は60センチメートル~2メートルが一般的です。地下水を井戸の中に溜めて使用するため、水質が不安定になりやすいという欠点があります。
ボーリング井戸
ボーリング作業によって、硬い地層や岩盤を掘削し、地中深くの地下水を汲み上げる深井戸のことをいいます。他の井戸より安定した水量と水質が期待でき、世代を超えて長く利用できます。ボーリング井戸は、掘削が困難で高額になりますが、ランニングコストがかかってもメリットが大きいと人気があります。
井戸水を利用する時の注意点
井戸は、公共の水道とは違い、個人所有の設備です。以下の点に注意し、自己管理していきましょう。
水が汚染している可能性
浅井戸の水の場合、周辺の環境や天候に影響を受けやすく、土壌汚染や病原菌が混入している可能性があります。安全を確認しないまま生水として飲用しないようにしましょう。深井戸の水は、飲用に可能な水が出ますが、長く保証できるものではありません。見た目は綺麗な水であっても水質検査は定期的に行いましょう。
水量が安定しない
地下の水脈が常に一定とは限りません。井戸水は、環境や天候に影響を受けやすいため、井戸の周辺で工事をしていたり、降水量が少なければ、水脈に乱れが生じることもあります。
洗濯物のトラブル
井戸水は、地下の自然鉱物を通ることで不純物がろ過されます。そのため、鉄やマンガンを多く含んでいる可能性があります。鉄分などが含まれた水で洗濯すると、洗濯物が黄ばんだり黒ずんだり、さらには洗濯機が故障する恐れがありますので注意しましょう。生活用水であっても定期的な水質検査は必要です。
井戸は災害時の防災井戸として注目されている!
近年、水道設備が整ったことや井戸水の水質の不安定さにより撤去される家庭も多くなってきました。一方で、自然災害による断水の際は災害用水として利用できると注目され、井戸の設置を検討する家庭も増えてきています。井戸の設置や利用を検討するのであれば、井戸の特性を理解し、適切に利用することが大切です。