かつては生活に必要不可欠だった井戸も、水道の普及により、利用されなくなったケースが増えています。井戸をそのまま放置すると、安全面や衛生面に問題が生じる可能性があり、撤去を検討する家庭も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、井戸の撤去を始める前の注意点や撤去費用の相場、業者選定のポイントについてくわしく解説します。

この記事を読むための時間：3分

井戸の撤去を始める前に

井戸の撤去は、専門業者に依頼するのが一般的です。業者に依頼する前に、以下の項目をチェックしておくとスムーズに進むでしょう。

井戸の構造を知る

井戸の構造を理解することは、適切な撤去方法を検討する上でとても重要です。井戸には、打ち抜き井戸、掘り抜き井戸、ボーリング井戸などさまざまな種類があり、それぞれ構造も異なります。撤去方法は、井戸の種類と構造によって変動し、かかる費用にも直結するため、事前に確認しておくと良いでしょう。

井戸を撤去するか埋め戻すだけか検討する

将来的に、土地の売買や建物建設を予定している場合は、井戸を完全に撤去したほうが良いでしょう。井戸を一部でも残しておくと、地盤沈下のリスクがあり、土地の価値を下げる可能性があります。売買等の計画がなければ、比較的費用が抑えられる埋め戻し作業だけでも差し支えないでしょう。

「井戸祓（いどばらい）」には地域的ルールがあるかも

井戸は、昔から水の恵みをもたらす神様が宿る神聖な場所として崇められてきました。そのため、井戸を撤去する際は、神様への敬意を払う井戸祓を行う風習があります。井戸祓は、地域によって考え方や儀式の方法が異なるため、近くのお寺か神社に相談し、その土地に合った方法で行いましょう。

井戸の撤去にかかる費用の相場

井戸の撤去にかかる費用の相場について解説します。

お祓いにかかる費用

井戸の解体は専門業者に依頼しますが、井戸のお祓い費用は含まれていません。施工主自身で神社やお寺に直接依頼し、支払います。お祓いにかかる費用は、地域で決められていることもありますが、一般的に2万円~3万円程度が相場です。地域によっては、無償で行われる場合もあるので事前に確認しましょう。

井戸のみの撤去費用

井戸のみを撤去する場合の一般的な費用相場は10万円前後です。しかし、実際は井戸の大きさや深さ、埋め戻しに使用する土砂の材料や質によって幅があり、20万円程度かかるともいわれています。解体を依頼する前には、しっかり見積もりを取り、信頼できる業者を選びましょう。

家の解体と同時に行う費用

家の解体と同時に行う場合、井戸のみを撤去する費用に比べて安くなる傾向があります。井戸解体の追加費用として3〜5万円程度が見込まれますが、井戸の大きさや深さ、立地条件などによって変動する可能性もあります。事前に解体業者と費用の内訳を確認しておきましょう。

井戸の撤去を依頼する業者選びのポイント

業者を選ぶ際には、以下のポイントを抑え、信頼できる適切な業者を選ぶようにしましょう。

お祓いや息抜きが行える業者か

お祓いは、基本的に施工主が個人で行うため、専門業者が介入することはほとんどありません。しかし、解体業者によっては、神社やお寺とつながりがあり、お祓いの手配を代行してくれる業者もあるので、事前に相談してみると良いでしょう。井戸の息抜きには、井戸に宿る神々が外に抜けられるように行う信仰的な意味合いと地盤沈下や蓄積されたガスを排出するという実用的な意味合いがあります。

それぞれ科学的な根拠はありませんが、息抜きを適切に行える経験豊富な解体業者に依頼したほうが安心でしょう。

適切な埋め戻し作業を行う業者か

埋め戻し作業には専門的な知識と経験が求められます。埋め戻しは、地下の水脈を乱さないためにも、井戸を掘る前の状態に戻すのが理想とされています。そのため、井戸の底には砂や砂利状のもの、上部には雨水などが直接入り込まないように土状のものというように、材質を変える必要があります。

単に土を埋め、穴を塞ぐだけでは、地盤沈下や液状化などの問題が生じる可能性があるので、適切な埋め戻し作業を行える業者を選ぶことが重要です。

優良な業者を選ぶためには複数社から相見積もりをとることが重要

井戸は、古くから人々の暮らしを支えてきた信仰的な存在でもあります。撤去を検討する際は、井戸に対する敬意と水質保全を行える、経験豊富で実績のある業者を選んだほうが安心です。建物の解体業者は複数ありますが、井戸解体を適切に行えるとは限りません。また、解体する相場にも幅があります。

複数の業者から見積もりをとり、相場を把握したうえで、信頼できる業者を選択することが重要です。